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とんかつ通信(不定期刊行物) 第13号

編集・発行すずや店主(軽薄?敬白?)

<はじめに>

皆様こんにちは。本日も星の数ほど多くある飲食店の中から、私ども「すずや」をお選びくださり誠にありがとうございました。従業員一同心から厚く御礼申し上げます。
 今後も皆様の御期待に応えられますように、更に味やサービスの向上に努めて参ります。

<最近思うこと>〜全てのルーツはイタリアから?〜

7月の末から8月の上旬にかけて約10日間に渡り、25年振りのイタリア旅行に行って参りました。
 北のミラノからヴェネッツア(昔ベニスと言ってましたね・・・?)、フィレンツェと列車を使って徐々に南下し最後はローマに、そこから日帰りでしたがナポリ、カプリ島へと足を延ばしてきました。
 すべての行く先々で深く「歴史」を感じました。またそれぞれの都市にそれぞれの個性(特徴)があり、都市や自然の景観は皆美しく食べ物はどれも味があり美味しい。駆け足ではありましたがとても多くの感動を得る事ができました。

 「すべての道はローマへと続く・・・」確か中学の時の歴史の教科書に偉大なローマ帝国の強大な覇権を比喩して出ていた言葉だと思うのですが、今回の旅を終えまた違った側面からこのフレーズを想い出しました。
 「すべてのルーツはイタリアにあるのではないか」と
 
 そもそもイタリアに行ってみたくなった理由は三つありました。

 一つは最も尊敬する同業の経営者の方が常日頃、「本物はすべてイタリアに行けばある」と仰っていたことでした。
 その方はまた「現在、人類が最も数多く食しているハンバーガーだって元をたどれば(挽肉も、トマトも、ピクルスもイタリア料理の代表的食材を組み合わせた)イタリア料理を簡素化したものである」とも語っておられます。

 二つ目は弊社が昨年ラ・フエット多摩南大沢(現:三井アウトレットパーク 多摩南大沢)というアウトレットモールに出店したときのことです。
 施設全体のテーマが南仏のプロバンスの田舎町だというので、当時総合デザインを手がけていた全米一の商業施設デザイン会社のデザイナーに「何故今更プロバンスなんかをテーマにしたの?」と尋ねた時のことです。
 彼は「僕らの国には歴史がない、だからアメリカ人は皆潜在的に欧州、中でもイタリアやフランスには強いコンプレックスを持っているんだ」「憧れなんだ」と、言うのです。
 それまではどちらかと言うと、外国文化といえばアメリカ型を信奉していましたので、そのアメリカ人が本音でそう言っていたことにはある意味ショックを感じたのでした。

 そして三つ目は、最近ほとんど病気といってもよい位第三の場所(弊紙第10号参照)として足を運んでしまうスターバックスコーヒーのH・シュルツ会長が書いた「・・・成功の秘密」という本に、「まだシアトルに数軒しかない小さな豆の引き売り店だった頃訪れたミラノのバール(イタリアによくあるバーやデリカテッセンも兼ねたスタンドコーヒー店のこと、エスプレッソ・バーとも言う)こそ、いまのスターバックスの原点である」といった趣旨の記述があったことです。

 「そうかやはりモデル(見習う原型、創業時の目標)はイタリア(欧州)にあったのか・・・」と気づいたのです。
 まあそんなことを口実に探求心を持って行って来たわけですが、なるほどそういう目で見れば衣食住、生活全てが大人っぽく洗練されているように見えました。最近の我が国のように「新しいもの、変わったもの、珍しいもの」が話題を呼んだりもてはやされたりされる風潮とは全く逆でした。
 例えばレストラン、行く前に現地に詳しい方々からの様々な情報を集めて(ホテルの宿泊に付く朝食は別として)滞在中の昼・夜の食事をほとんど決めてから出かけたのですが、さすがに訪れる店訪れる店で本当に満足した食事をとることが出来ました。

 共通して言えることは、店の外見等はどこも地味なのですが一歩店内に足を踏み込むと必ず店内のお客様の作り出す弾んだ会話や食器の音が自然な活気として伝わってきます。
 またどこの店も店内のインテリアは目立たないクラシックな感じで、落ち着いた雰囲気やムードを醸し出しています。そして店では必ずと言って良いほど"大人"のウエイターがいて、忙しいときには飛び回っていてもプロとしての安心感をお客様に与えています。

 どのお店でもお客様を含めて主役は"人間"であることを再認識させられました。メニューに関してはどこの繁盛店でもけっして奇抜な料理を扱っているわけでなく、ポピュラーな日本でもお馴染みの料理が中心でした。
 ただ、ご承知のように一口にイタリア料理といってもその地方毎、季節毎に扱う素材や料理方法が違いますので、店の方は皆割り切っていると言うか、正直というか「総合イタリア料理店」みたいなものは存在せず、あくまでも「・・・地方料理店であって」無理して幅広いメニューを取り込んでいるような店はほとんどありませんでした。
 そして例え客単価の高い店に行っても、別に盛りつけや食器に奇をてらったところなども無く、あくまで「素材と味が勝負」と見受けられました。
 総じて"ベーシック""伝統""正当派"なのですね。結局食の世界でも成熟した本物の魅力を再認識させられました。

 こうして、一昨年のフランス料理の時とは違って毎日毎日続けてイタリア料理を食べることが出来ました。
 オリーブ油がもたれないのか、粉(パスタ)を取り込んで消化が楽なのか科学的な分析をしたわけではありませんが、繰り返し繰り返し食しても生理的に受け入れやすい料理なのだと実感しました。

 近年の我が国におけるイタリア料理ブームの背景にもこのようなことが要因となっていることは間違いないようです。中華料理同様何千年も続いてきている食文化には理屈を越えた本質が秘められているのではないかと思います。            
 その他「都市」の原型、観光資源とは何か、ファッションの源流、デザインの基本等々今回書き切れませんが、現代文化の多くのルーツをイタリヤに見つけたような気がします。

 

<とんかつ屋が選んだとんかつ屋>〜八丁味処 串の坊〜

すずや渋谷店(編注:既に閉店)では8月より一部串揚げとカクテルのメニューを導入いたしました。カクテルも飲めるとんかつ屋・・・、お茶づけを召し上がる前に串揚げをおつまみにして一杯飲んでいただけたら・・・また違った楽しみ方をご提案できるのではないか・・・と考えました。
 
 串揚げとはそもそも・・・??等と考えていた時に、たまたまこちらの若旦那さんと名刺交換をしたことがきっかけで、一年ぶりに伊勢丹会館8階の新店に立ち寄りました。
 大阪から発祥し今や全国に40店近くお店がありますので店名はご存じの方も多いと思います。
 同じ"かつ"であっても私共のようにご飯のおかずとして食べるカツとは違い、肉だけでなく野菜、魚貝類も取り混ぜた季節感あふれる多彩な食材を、更に仕事を加えて(二種以上の食材を組み合わせたり、巻き込んだり、下味を加えたりして)素材の持つ微妙な味わいを引き出しています。お任せコースは(15本見当で)約3500円。繊細なカツです。

*串カツ・ふらゐ専門店 串の坊 伊勢丹会館店 新宿区新宿3-15-17 伊勢丹会館3F・8F 050-5815-0533

「法善寺 串の坊」のオフィシャルページはこちらをクリックして下さい
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第13号 –完–
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